大中寺いもが今年も豊かな収穫の時期を迎えました。
毎年、11月~2月ごろご案内できるひととき百貨店の【とき(体験】です。
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【大中寺(だいちゅうじ)いも】は、沼津市沢田地区の大中寺周辺でとれる伝統野菜の里芋の一種で、大きいものでは3kgにもなります。赤ん坊の頭ほどの大きさがあることから、もともとは頭芋(かしらいも)と言っていました。沼津御用邸に静養にいらしていた皇室の方々が、その大きないもを「大中寺いも」と呼ばれたことから、いつしか一般的にもそのように呼ばれるようになりました。
皇室の方々はまた大中寺にもしばしば行啓され、美しい庭の景色を愉しまれたそうです。そのご縁もあり、大中寺いもが沼津を代表するじものとして献上されました。
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その歴史的背景を裏付けるように大中寺には今でも、大正時代に沼津御用邸から届いた大中寺いもの注文書が残っています。
そんな大中寺いもですが、生産農家の減少から一度その存在を市場から完全に消します。しかしお茶農家も営む井出摩訶茶園(いでまかちゃえん)の井出さんだけが種芋を育て続け、種を絶やすことなく守ったそうです。
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2010年頃には、井出さんが中心となり【大中寺いもの会】という生産者の会が創立され、再び販売されるようになりました。今では約3、40軒の農家で大中寺いもを作っています。地域の野菜として大切に育てるため品質や安全基準を設けていることから、広く市場に出回ることは今の時点では難しいそうで、静岡県東部地区の数カ所でしか手に入れることができない貴重な存在になっています。
大中寺いもはその大きさも特徴的ですが、上品な味わいと扱いやすさも人気の理由です。一口大に切っておだしでシンプルに煮てもよいですし、茹でたものをつぶしてパン粉をつけ、コロッケにしてもホクホクしておいしいです。一般的な里芋よりクセや粘り気が少なくてクリーミーな食感を楽しむことができます。
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まだ大中寺いもを買ったことがない方がその大きさを目の前にすると、
《一度に使いきれなそうだなあ》《無駄にしてしまうかもしれないなあ》
と思うかもしれません。でもね。案外使い勝手がいいんです。ほんとうに。
一般的なヌメっとした小さい里芋の皮を何個もむくより、ベタベタしない大中寺いもをスルスルとむくほうが断然簡単ですし、新聞に包んで常温保存ができるので、必要な分だけ切りながら、数日に分けて調理をすることができます。大きな大中寺いもがいろんな料理に形を変え、キッチンの隅でだんだん小さくなっていく様には、愛しさすら感じます。
切る前の丸のままなら、プランターなどの土の中に埋めておいて、いざ使うときに掘り出すという方法も取れるそうです。これなら数ヶ月もつので、ちょっとしたタイムカプセル気分で掘り出す時をたのしみにしながら、冬の間を大中寺いもと一緒に過ごすのもいいですね。
ちなみに冬を越すと、熟して包丁が通りやすくなり違った食感を楽しめるそうですよ。それまで食べずに待つことができれば、ですが。
店頭に並んでいる姿はまるで、「普通のお芋さんより大きいんで、しばらくおうちに置かせてください。」と言っているかのようです。
ここで前述の大中寺について少し補足をすると、沼津市北部にある臨済宗の禅寺で、鎌倉末期に夢窓国師により開山したと言われています。皇室の方々も幾度も行啓された梅園は、開園から百年以上の時を経てもなお色あせることなく自然そのままの風情を残しています。四季それぞれに豊かな表情を見せる庭は、訪れる人たちの心を静かに満たしてくれます。
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大中寺副住職下山光順さんと境内を散策しながら、沼津に住んでいるのに知らなかった歴史深い貴重なお話を伺うことができました。
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旬の伝統野菜、大中寺いもの収穫体験をし、おいもをふんだんに使った「大中時いもづくし膳」を大中寺でたのしむという【とき(体験】が毎年11~2月の間に開催されます。
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副住職の下山光順さんに解説をいただきながら、700年以上の歴史があり、皇室の方々にも愛されたお庭や境内の散策も楽しんでいただけます。中でも大中寺恩香殿は有形文化財となっていますので、大変貴重な機会になると思います。(撮影は自由です)
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日にち 11月~2月頃 ※実施日についてはひととき百貨店サイトにてご案内
時間 10時〜13時(予定) 住所 沼津市中沢田457 臨済宗妙心寺派 大中寺 参加費 4,500円
内容 畑にて大中寺いもの収穫体験・境内の散策・大中寺いもづくし膳
おみやげ 大中寺いも(2~3個程度)
Soileat table主催 藤原会美シェフによる 大中寺いもをふんだんにつかった『大中寺いもづくし膳』 当日は大中寺芋を使った菜食の優しいごはん。 大きな大きな大中寺芋。1度では食べきれない大きさという声にお応えして、大中寺芋のアレンジメニューやこんなふうに調理します!など、調理や食べ方、ヒントもお伝えしながらお昼ごはんを召し上がっていただきます。