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【ひと】天野理恵さん おうちで再現できる発酵料理教室

 ひととき百貨店で発酵料理教室を毎月2回開催いただいている天野理恵先生。
「中村屋麹店さん」より、「ひととき百貨店のことをおもしろがってくれそうな人がいるよ。」そう紹介いただいたのが天野理恵先生との出会いです。

ひととき百貨店の入り口をくぐって料理教室を訪ねてくださる方はきっと、仕事や家庭で日々の生活や気持ちがいっぱいで、でもご自身の好きな世界も持っていて、そんなご自身の行き来を模索中…という方が多いんじゃないかと思ってます。

イハナ コティ発酵料理教室、天野りえ先生もまさにその一人。
育った家庭と大人になって築いてきた家庭、どちらもりえ先生の発酵料理のベースになっているし、日々の進化のヒントや活力になっていて、でもやっぱり子育てや仕事との両立で、好きなことをセーブしていた経験だってあります。

料理について学びたい気持ちはずっとあって、
「でも子育てを言い訳にはしたくない!」
といろんな資格をとったり
(今は、ホールフード協会認定の醸しにすととして活動しています)、
子へ
「勉強しなさい」
と言う傍ら自分自身も奮起して、自然と
「学びたい、教えたい」
と、料理教室をする夢が固まったり。
会社勤めをしながら、休日に少しずつ教室を開いてきました。

共感できる日常ですが、でもかなりパワフルですよね!

物怖じしないで、そうやってどんどん新しいことにチャレンジする人です。
新しい場所も、面白いことをする人のことも、大好き。
おいしいお店を訪ねると、お店が見えた瞬間から「わあすごい!嬉しい!かわいい!」と歓声があがるほど、集中するし気持ちに正直に過ごす人です。
そうして得たおいしいものやかわいいもの、新しいこと、全部誰かに伝えたくなるりえ先生にとって、料理教室はいちばんの元気になれる交流の場かもしれません。

発酵料理に必須な麹を買いに麹屋を訪ねて、
「こんな麹があったらいいなと思って」
と熱い気持ちをぶつけて商品化させてしまったこともあります。


麹といえば「ひしお麹」という調味料にはまり、たくさんの樽でそれぞれひしおを育てて世話をする生活が中心になって、ひしおのためにスケジュールを組んだりエアコンをつけて外出したりしていたこともあります。
コロナ禍で思うような外出や講座ができない時期は、いち早くオンラインでの講座を開いて生徒さんへ送る食材のキットをわくわくしながら作ったり、音声配信のSNSで日本中の発酵好きさんたちとの交流をはかったりしていたときも。

いつでも、人生のリアルタイムも流行のリアルタイムも感じる人です。

でも、生徒さんにお伝えする発酵料理は、スパイスや醤(ジャン)などセンスを感じさせる新しいものやおもてなしに使えそうなエスニックだけじゃなくて、お味噌や梅干し、みりんや白だし、乳酸発酵や麹調味料みたいな正統的な和発酵ものだって、もちろん。バリエーションはたくさん。

もともと、発酵に興味をもったのはずいぶんちっちゃい頃でした。
糠漬けが大好きで、だけどあるとき
「糠漬けはこんなにおいしいのに、糠床はなんでこんなにおいしくないんだろ?」
と見つけた小さな不思議がスタート。
そして、育った家庭には色々なお店で外食をよくする習慣があったこともあって、たくさんおいしいものを食べる機会には恵まれたそう。
そして幸せなことに、食べた料理を再現するのが大好きで、家族に食べてもらうのも大好きになって、そうしてりえ先生の今があります。

家族へは、料理教室の試食はもちろん、日々のごはんやお弁当に、愛情と経験とときめきと発酵を詰め込んできました。
ご主人や親御さん、さらには生徒さんや娘さんのお友達まで。
たくさんの方に味わって喜んでもらえて、そこで得た感想は料理教室をする上での大きな糧になって、でも特にいちばんのアドバイザーは娘さんです。
調理している姿をちっちゃいときから見ていて、日々のお母さんの手料理で大きく成長していって、おいしい!といつも感動しながらも遠慮なく感想を伝えてくれる家族です。

そんな居場所があってこそりえ先生の料理教室はあります。

だからりえ先生は、
「生徒さんが習って、帰ったそれぞれのおうちで、簡単に再現できて家族が喜んでくれる料理」
というのをだいじなコンセプトにしています。
自分自身にも家族にも発酵を取り入れて毎日元気に過ごしてほしいし、簡単に作れるからこそ日々の食卓に上がって、そしてそれぞれの家庭の味になっていくと思っているそうです。

最初にご紹介した
「イハナ コティ発酵料理教室」。
「イハナ コティ」はフィンランドの言葉で「すてきなおうち」。
りえ先生の中では、料理教室の主役は自分や料理ではなくて、そのお料理を囲むそれぞれの温かな家庭なんだな。
と思わせる言葉です。

そのりえ先生ご自身は2022年のこの春、会社勤めをやめて料理教室ひとつに絞ったところです。
新しいスタート。
娘さんが手を離れて遠方で暮らし始めて、同じく新しいスタートをきったのは大きなきっかけです。
「ごはんはもちろん、全部私がお世話してたからどうなるか不安」
というお母さんの心配をよそに、新生活早々に娘さんは自炊を始めて、レシピの質問をするために連絡がくることもよくあるよう。
「私が何でもやってたから自分からはやらなかっただけで、ちゃんと見てたんだなあって」
というお母さんとしての実感です。
それに離れても、料理教室の試作の写真にアドバイスをくれたり、一緒においしいものを食べる機会があったり、そういう繋がりは変わりません。
自炊を始めたことで、
「色んなことをがんばっても、料理だけはママには勝てない」
と、改めてお母さんを尊敬してくれるようになったそうです。
今までは親子の関わりは
「作る人×食べる人」
でしたが、これからは
「作る人×作る人」
でもあり、遠くで別の世界をこれから広げてゆく娘さんが
「刺激をもってきてくれる人」
にもなることと思います。

料理を通して繋がってきた娘さんと離れて、こどもへ種をまく価値について気付かされたというりえ先生。
これからは、大人だけじゃなくてこどもへの料理教室をしたい気持ちも高まっているそう。
やめた会社勤めよりもっとマイペースに、こどもと関わる仕事を少しだけ始めたり、さらには料理教室だけではなくて、カフェのレシピ開発に携わったりもしています。

これから、りえ先生の引き出しもたくさん増えていくのだと思います。

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記事を執筆しました!

清水町の老舗麹店へ遠方から嫁ぐ。

沼津をはじめこのエリアに来て気付いたのは、
イベントや美味しいものの豊富さと、クリエイティブでフットワークの軽い人がいっぱいいること、そして色んな価値観が交差して混ざりあっていること。

ポジティブなヨソモノとしての新鮮な発見が私にはいつもあって、これからもひとつずつ驚いたり感動したりしながら、ひととき百貨店を通してシェアしていきたいなって。

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